ショーメとカルティエの格を徹底比較!歴史とデザインの違いとは?

世界的な高級ジュエラーとして知られるショーメとカルティエ。どちらも魅力的なブランドですが、その歴史や背景を知ると、それぞれの持つ格式やブランドイメージに違いがあることがわかります。
「ショーメとカルティエ、どちらの格が自分に合うのだろう?」と考える方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、フランス皇帝に愛されたショーメと、世界中の王室から支持されたカルティエについて、それぞれの歴史、デザインの特徴、代表的なコレクションなどを比較しながら解説します。
両ブランドの違いを知ることで、それぞれの格に対する理解が深まり、ジュエリー選びの参考になるはずです。
- ショーメとカルティエの歴史的な格の違い
- デザインに見る両ブランドの個性とイメージ
- 代表コレクションからわかるブランドの特徴
- それぞれのブランドを選ぶ人の傾向やイメージ
ショーメとカルティエ、歴史と伝統から見る格の違い

世界に名だたる高級ジュエラー、ショーメとカルティエ。どちらも輝かしい歴史を持ちますが、その背景は異なります。ショーメは1780年創業、フランス皇帝ナポレオンに愛され、「グランサンク」の一員としてパリの伝統を体現します。
一方、カルティエは1847年創業、「王の宝石商」と称えられ、世界各国の王室から支持を得てきました。それぞれの歴史と伝統を紐解き、両ブランドが築き上げてきた独自の「格」の違いについて見ていきましょう。
グランサンクとしての格式:パリ5大宝飾店
フランス・パリには、「グランサンク」と呼ばれる特別なジュエリーブランドが存在します。フランス語で「偉大な5つ」を意味するこの称号は、パリのヴァンドーム広場に本店を構え、フランスの宝飾史を彩ってきた名門ジュエラーに与えられています。
その5つのブランドとは、「メレリオ・ディ・メレー」「ショーメ」「モーブッサン」「ブシュロン」「ヴァンクリーフ&アーペル」です。
これらのブランドはすべて創業100年を超える老舗であり、特にショーメはグランサンクの中でも長い歴史を持つことで知られています。
グランサンクは1940年代から活動を開始し、合同での新作発表会なども行っていましたが、現在は創業家が経営から退いたブランドもあり、組織としての活動は少なくなっています。
しかし、ヴァンドーム広場に本店を構え続けるこれらのブランドは、今もなお世界中の人々から愛され、最高峰の格式を持つジュエラーとして認められています。
ショーメがこの一員であることは、その歴史と伝統、そして卓越した技術力が公に認められている証と言えるでしょう。
創業240年超、皇帝に愛されたショーメ
ショーメの輝かしい歴史は、1780年にマリ=エティエンヌ・ニトがパリで工房を開いたことから始まります。これはフランス革命直後の激動の時代であり、ショーメは創業から240年以上の時を経て、今なお世界中の人々を魅了し続けています。
特筆すべきは、フランス皇帝ナポレオン1世とその皇后ジョゼフィーヌとの深い繋がりです。ある日、ニトが暴れ馬に振り落とされそうになったナポレオンを助けたことがきっかけで、その才能が認められました。
天才的な戦略家であったナポレオンは、宝飾品が持つ力を理解しており、宮廷の女性たちにティアラの着用を命じ、ニトにその制作を依頼しました。
さらに、ニトの息子は皇后ジョゼフィーヌにも紹介され、ショーメは皇帝と皇后、両方の御用達ジュエラーという、極めて稀な栄誉を授かりました。
これは、ショーメがいかにナポレオン家から絶大な信頼を得ていたかを示すエピソードであり、皇帝に愛されたジュエラーとしての確固たる地位を築く礎となりました。
王の宝石商と称されるカルティエの威光
カルティエは、1847年にルイ=フランソワ・カルティエがパリで師匠から工房を引き継いで創業しました。
当時のパリは政治的な変動期にありながらも、万国博覧会が開催されるなど産業や芸術が花開いた時代でした。カルティエはこの時代の流れを巧みに捉え、急速に発展を遂げます。
創業者のルイ=フランソワから息子のアルフレッド、そして孫のルイ、ピエール、ジャックへと事業が引き継がれる中で、ヨーロッパ各国の王室や上流階級との関係を深め、国際的な名声を確立していきました。
特に、イギリス国王エドワード7世はカルティエを高く評価し、「王の宝石商、宝石商の王 (Jeweller of kings, king of jewellers)」と称賛し、英国王室御用達の称号を与えました。
この言葉はカルティエの威光を象徴するものとなり、世界中の王族貴族から愛されるブランドとしての地位を不動のものにしたのです。カルティエの歴史は、王侯貴族との強い結びつきによって彩られています。
ショーメ:フランス皇室御用達の歴史
ショーメの歴史は、フランス皇室と切り離して語ることはできません。1780年の創業以来、特にナポレオン1世とその皇后ジョゼフィーヌとの深い関係は、ショーメのブランドイメージを形作る上で非常に重要です。
創業者マリ=エティエンヌ・ニトは、ナポレオンの戴冠式で使用された剣や教皇ピウス7世へのティアラなどを制作し、その卓越した技術で皇帝の信頼を得ました。
さらに、皇后ジョゼフィーヌの専属ジュエラーも務めることになり、皇帝と皇后両方の御用達という特別な地位を確立しました。
ジョゼフィーヌは当時のファッションリーダー的存在であり、彼女の洗練されたセンスはショーメのデザインにも大きな影響を与えました。
ショーメは彼女のために数多くのティアラやジュエリーを制作し、その優美でエレガントなスタイルは、後のコレクションにも受け継がれています。
フランス皇室御用達ジュエラーとしての長きにわたる歴史は、ショーメが持つ揺るぎない格式と伝統の象徴なのです。
カルティエ:世界各国の王室との繋がり
カルティエが「王の宝石商」と称される理由は、フランス国内にとどまらず、世界各国の王室から絶大な支持を得ていたことにあります。
3代目のルイ・カルティエたちの時代には、その革新的なデザインと卓越した宝飾技術が高く評価され、ヨーロッパをはじめとする世界15か国もの王室から御用達の称号を受けました。
特にイギリス国王エドワード7世からの寵愛は有名で、「王の宝石商、宝石商の王」という言葉とともに英国王室御用達の勅許状が与えられました。
現在でも、パリのラ・ペ通りにある本店入り口の左右には、英国王室御用達の紋章が掲げられており、その輝かしい歴史を物語っています。
フランス皇帝ナポレオン3世の皇后ウジェニーを初期の顧客とし、その後もスペイン、ポルトガル、ロシア、シャム(タイ)、ギリシャ、セルビア、モナコ、ベルギー、ルーマニア、エジプト、アルバニア、オルレアン家、ボナパルト家など、枚挙にいとまがないほど多くの王侯貴族を顧客に持ちました。
この広範な王室との繋がりが、カルティエの国際的な名声と威光を築き上げたのです。
歴史から考察する両ブランドの格付け
ショーメとカルティエは、どちらも宝飾界において最高峰に位置づけられる名門ジュエラーであり、それぞれに輝かしい歴史を持っています。
ショーメは1780年創業と、カルティエ(1847年創業)よりも長い歴史を持ち、フランス革命やナポレオン時代といったフランス史の重要な局面と共に歩んできました。
特にフランス皇室御用達としての実績と、パリ5大ジュエラー(グランサンク)の一角である点が、その伝統と格式を物語っています。
一方、カルティエは「王の宝石商、宝石商の王」と称され、イギリスをはじめとする世界各国の王室から御用達を受けた実績を持ちます。
また、「世界5大ジュエラー」の一つとしても広く認知されており、その国際的な名声は非常に高いものがあります。
歴史的背景を見ると、ショーメはフランスの伝統と格式を深く体現するブランドであり、カルティエは国際的な王室との繋がりと革新性で名を馳せたブランドと言えるでしょう。
どちらが明確に「格上」であると断定することは難しく、それぞれが異なる側面で最高峰の格を持つブランドとして評価されています。
ショーメとカルティエ、デザインと人気で見る格の比較

ジュエリー選びではデザインや人気も重要な要素です。ショーメとカルティエのデザインには、それぞれの個性が色濃く表れています。ショーメは自然主義に基づいた優美でエレガントなデザインが特徴です。
対してカルティエは、プラチナの導入やアール・デコ様式の採用など、革新的でモダンなデザインを得意としてきました。
代表的なコレクションや婚約・結婚指輪の人気、そしてそれぞれのブランドを選ぶ人々のイメージから、デザインと人気の側面における両者の違いを比較します。
ショーメのデザイン:自然主義とエレガンス
ショーメのデザインは、その長い歴史の中で培われてきた自然主義とフランス的なエレガンスを色濃く反映しています。
創業者マリ=エティエンヌ・ニトの時代から、自然はインスピレーションの源泉であり続けてきました。特に、皇后ジョゼフィーヌは自然を深く愛し、ショーメに麦の穂や植物をモチーフとしたジュエリーを数多く注文しました。
この自然への賛美は、現代のコレクションにも脈々と受け継がれており、「ビー マイ ラブ」コレクションのハチの巣モチーフや、「エピ ドゥ ブレ」コレクションの麦の穂のデザインなどにその精神を見ることができます。
また、ショーメのジュエリーは、繊細で優美、そしてロマンティックな雰囲気を纏っているのが特徴です。曲線的で柔らかなライン、緻密なセッティング、そして上品な輝きは、まさにフランスの洗練された美意識を体現しています。
特にティアラ制作で培われた高度な技術は、他のジュエリーにも活かされており、立体的で軽やかなデザインを実現しています。
ショーメのデザインは、派手さよりも品格と知性を感じさせ、身に着ける人の内面的な美しさを引き立てるようなエレガンスを追求しています。
カルティエのデザイン:革新性とモダンさ
カルティエのデザインは、常に時代を先取りする革新性と、洗練されたモダンさによって特徴づけられます。創業初期から、当時の主流であった金や銀だけでなく、プラチナをジュエリーに本格的に導入したことは、その革新性を示す代表的な例です。
プラチナの白い輝きはダイヤモンドをより美しく見せ、繊細なデザインを可能にしました。
また、20世紀初頭には、アール・デコ様式をいち早く取り入れ、直線的で幾何学的なフォルムや、大胆な色彩のコントラストを用いたジュエリーを発表し、モード界に新風を吹き込みました。
カルティエのアイコンとして名高い「パンテール(豹)」モチーフも、その力強くしなやかな姿を通して、メゾンの大胆さと野性的なエレガンスを象徴しています。
さらに、「LOVE」コレクションのビスモチーフや、「ジュスト アン クル」の釘モチーフなど、日常的なアイテムをジュエリーへと昇華させる独創的な発想も、カルティエならではのモダンな感性を示しています。
カルティエのデザインは、伝統を踏まえつつも常に新しい表現を模索し、都会的でスタイリッシュ、そして強い個性を放つ魅力を持っています。
代表コレクションに見るブランドイメージ
ショーメとカルティエ、それぞれの代表的なコレクションは、ブランドが持つ独自のイメージを色濃く反映しています。
ショーメでは、ナポレオンとジョゼフィーヌの愛の物語にインスパイアされた「ジョゼフィーヌ」コレクションが、ティアラをモチーフにした優雅なデザインで、高貴さとエレガンスを象徴しています。
絆や結びつきをテーマにした「リアン」コレクションは、クロスモチーフが特徴的で、愛や友情といった普遍的な繋がりを表現し、ロマンティックなイメージを与えます。ミツバチの巣をデザインした「ビー マイ ラブ」コレクションは、自然への敬意と、遊び心のある洗練を感じさせます。
これらのコレクションからは、伝統、気品、自然との調和、そして愛といった、ショーメならではのブランドイメージが浮かび上がります。
一方、カルティエの「LOVE」コレクションは、ビスモチーフが施され、「愛の束縛」というコンセプトを持つモダンなデザインで、永遠の愛と情熱を象徴し、世界中で人気を博しています。
3色のゴールドが絡み合う「トリニティ」リングは、愛、忠誠、友情を表し、普遍的で洗練された美しさを表現しています。
釘をモチーフにした「ジュスト アン クル」は、日常をジュエリーに変える大胆さと都会的なセンスを示しています。これらのコレクションは、モダン、大胆、アイコニック、そして情熱的といったカルティエのブランドイメージを形作っています。
婚約・結婚指輪の人気と価格帯比較
婚約指輪や結婚指輪において、ショーメとカルティエはどちらも非常に人気が高く、多くのカップルに選ばれていますが、それぞれ異なる魅力を持っています。
ショーメのブライダルリングは、エレガントでクラシカル、そしてどこかロマンティックなデザインが特徴です。「ジョゼフィーヌ」コレクションのティアラを模したリングや、「リアン」コレクションの結び目をデザインしたリングは、上品で洗練された雰囲気を好む人々に人気があります。
また、他の人と被りにくい、個性的でありながらもタイムレスなデザインを求める層からも支持されています。価格帯としては、シンプルな結婚指輪である「リアン エヴィダンス」は約20万円台から、センターダイヤモンドが輝く「ジョゼフィーヌ」コレクションの婚約指輪は約50万円台から見られますが、デザインやダイヤモンドの質によって大きく変動します。
一方、カルティエのブライダルリングは、アイコニックでモダンなデザインと、その高い知名度が魅力です。LOVEリングやトリニティリングは、ブランドを象徴するコレクションとして根強い人気を誇ります。
また、「バレリーナ」や「カルティエ ダムール」といった、より繊細でエレガントなデザインも豊富です。ステータス性や普遍的なデザインを重視するカップルに選ばれる傾向があります。
価格帯は、「LOVE」リングや「トリニティ」リングが約15万円台から、「バレリーナ」ソリテールリングが約20万円台からとなりますが、こちらも素材やダイヤモンドによって価格は異なります。どちらのブランドも幅広い価格帯の選択肢を用意しています。
ショーメを選ぶ人の特徴とイメージ
ショーメを選ぶ人は、上品でエレガント、そして洗練された美意識を持っていると見られることが多いです。流行に左右されることなく、本質的な価値や質の高さを重視する傾向があります。
ショーメが持つ240年以上の長い歴史や、フランス皇室御用達であったというストーリー性に魅力を感じる人も少なくありません。デザインにおいては、派手さや大胆さよりも、繊細で優美、ロマンティックな雰囲気を好む傾向が見られます。
自然モチーフや柔らかな曲線を用いたデザインが多く、どこか知的で穏やかな印象を与えます。
また、グランサンクの一員であることから、宝飾品に対する深い知識やこだわりを持ち、「知る人ぞ知る」本物の良さを理解しているイメージもあります。
自己主張は控えめながらも、揺るぎない自分のスタイルを持ち、内面からにじみ出るような気品を大切にする。それがショーメを選ぶ人の一般的なイメージと言えるでしょう。
カルティエを選ぶ人の特徴とイメージ
カルティエを選ぶ人は、華やかでモダン、そして都会的なセンスを持っているというイメージが一般的です。
「王の宝石商」と称される歴史と、世界的な知名度から、ステータス性やブランド力を重視する傾向が見られます。
カルティエのジュエリーが持つアイコニックで大胆なデザインは、自分らしさを表現するためのアイテムとして選ばれることも多く、自信に満ち溢れ、自己表現を楽しむ人に好まれる傾向があります。
「LOVE」コレクションや「ジュスト アン クル」など、一目でカルティエと分かるデザインは、トレンドに敏感で、ファッション感度の高い人々にも人気です。
また、革新的なデザインを生み出してきた歴史から、既成概念にとらわれない自由な発想を持つ人や、アクティブでエネルギッシュなライフスタイルを送る人にもフィットするイメージがあります。
カルティエを選ぶ人は、洗練されたスタイルの中に、確固たる個性と存在感を求める傾向があると言えるでしょう。
まとめ:ショーメとカルティエの格について
この記事をまとめていきます。
- グランサンクはパリのヴァンドーム広場に本店を構える5つの名門宝飾店の総称である
- ショーメはグランサンクの一員であり、その中でも特に長い歴史を持つ
- ショーメは1780年創業で240年以上の歴史を誇る
- ショーメはフランス皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌに愛された
- ショーメは皇帝と皇后両方の御用達ジュエラーという稀有な栄誉を持つ
- カルティエは1847年にパリで創業した
- カルティエは「王の宝石商、宝石商の王」とイギリス国王に称賛された
- カルティエは世界15か国の王室御用達となった実績を持つ
- ショーメのデザインは自然主義とフランス的なエレガンスが特徴である
- ショーメは皇后ジョゼフィーヌの影響で麦の穂など自然モチーフを多用する
- カルティエのデザインは革新性とモダンさが特徴である
- カルティエはプラチナをジュエリーに本格導入し、アール・デコ様式も取り入れた
- ショーメの代表作は「ジョゼフィーヌ」「リアン」「ビー マイ ラブ」である
- カルティエの代表作は「LOVE」「トリニティ」「ジュスト アン クル」である
- 婚約・結婚指輪はショーメがクラシカル、カルティエがモダンなデザインで人気である
- ショーメを選ぶ人は上品さや歴史・ストーリー性を重視する傾向がある
- カルティエを選ぶ人は華やかさやステータス性・モダンさを重視する傾向がある
- 両ブランドの格付けは歴史やイメージが異なり、一概に優劣はつけ難い











